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2018.12.20

REPORT

SCRAMBLE STADIUM SHIBUYA
第 3 回 クロストーク

エンタテインメント拠点としての渋谷区の未来

2018/12/20(木)18:00〜20:30@EDGEof

パネリスト

  • 稲葉 貢一さん(株式会社トイズファクトリー 代表取締役 CEO)
  • 小橋 賢児さん(リアル株式会社 代表取締役/クリエイティブディレクター)
  • 相馬 信之さん(株式会社アミューズ 取締役 専務執行役員)
  • 永谷 亜矢子さん(株式会社an 代表取締役社長)

ファシリテーター

  • 金山淳吾(渋谷区観光協会 代表理事、渋谷未来デザイン プロジェクトデザイナー)

オープニングの構想説明で、金山がエンタテインメント空間としての渋谷のポテンシャルと現状をこう説明します。

「都内には、クラブ、ディスコ、イベント会場、DJバーなどのスペースが428件ほどあります。その32%にあたる137件が渋谷区にあります(※)。これは23区で圧倒的な数字です。しかし、1万人以上を収容できるアリーナクラスは、代々木第一体育館だけなんです。
つまりトップアーティスト、トップクリエイターが渋谷でパフォーマンスをする機会が少ない。 その上で、今後エンタテインメント拠点として渋谷のポテンシャルをどう活かしていくか、議論したい」

と結ぶと、渋谷にゆかりの深い4人のパネリストが登壇し、それぞれが渋谷への思いを語ります。

「僕が若い頃の渋谷はファッションとカルチャーの中心だった。いろんな文化や人種がごちゃ混ぜになっていて、“余白”があった。裏原のカルチャーやコギャルもそうだけど、アンダーグラウンドから始まるムーブメントがあった。アートや文化は“余白”から生まれると思います。いまは大きな資本が入って再開発されていますが、そういった“余白”が少ないと感じます」と小橋さんが発言。

続いて、相馬さんも「渋谷はすごくエネルギーがある街。いまでもエネルギーがある。でも、それが発信されていない」と語ります。

同様に永谷さんも「多くの人が渋谷に来るけど、スクランブル交差点の写真を撮って帰っちゃう。私が若い頃は109が聖地だった。もっと昔のようなエネルギーを取り返したい」と、渋谷が以前のような流行の発信地としての力を失っていると感じているようでした。

そして話題は、代々木公園B地区に3万人収容規模のスタジアムパークを建てる構想に移っていきます。

そこでアミューズの相馬さんが
「エンタテインメントとは、メッセージや気持ちを伝えるってこと。会場のカラーを出していく必要がある。例えば、利用料を安くすると、興行主側は利益率が上がる。そうなった場合に渋谷の緑化活動に売上の数%を寄付するとかね。
あとは全天候型というのは絶対条件です。50代を超えたベテランアーティストとその世代のお客さんが今年のような猛暑のなかでライブをやったら、熱中症になる人が出かねないからね(笑)」
と的確な視点とコメントで会場を沸かせます。

稲葉さんも自身が代表を務めるトイズファクトリー所属のゆずを例に出しながらこう続けます。

「ゆずは人通りが多い場所で路上ライブをやったから伝わった。お金を出して場所を借りても人が集まらなかったら伝わらないんです。そういった意味では、渋谷駅から代々木公園までの道、『公園通り』そしてその先『代々木公園』までに流れを作ることができるか? ここがキモになります。個人的には、海外からのツーリストも多く、年間約1,000万人の参拝者が訪れる明治神宮に隣接する代々木公園地区をニューヨークのセントラルパークに匹敵するグローバルな存在にしたい。」

そんな稲葉さんの提案に小橋さんは「ロケーションがとにかく抜群です。音楽フェスだと遠方開催の場合は、なにかしらの目的がないと人は来ない。そういう目的型ではなくて、都市型でふらっと来れるようなイベントがいいと思う」
とアイデアを肉付けすると、さらに永谷さんが「郊外型だとイベントが終わるとそのまま帰ってしまう。代々木公園だとイベントが終わった後に、買い物に行くこともできるし、美味しいご飯も食べられる。カルチャーに触れることができるはず」と次々と多彩なアイデアが飛び交います。一例を紹介すると……。

「コンセプト別のテーマパークというか、世代別に代々木公園のエリアを分けるとか」(稲葉さん)

「瀬戸内の直島はなんかがヒントになるかも。地中美術館のような」(相馬さん)

「ナイトタイムエコノミーの可能性も大いにある」(金山)

「インドのオーロヴィルやデンマークのクリスチャニアなどのような独自の思想を持つ事で、新たなコミュニティが出来上がる、みたいな事があってもいいのではないか」(小橋さん)

このようにエンタテインメント業界のトップランナーが集まったゆえに独自の発想が尽きないなか、あっという間に予定の時間が過ぎていきます。しかし、エンタテインメントをやる上で避けては通れないのが騒音などの問題。近隣住民との信頼関係・共存、そしてシビックプライドであると、相馬さんはポール・マッカートニーを例に挙げて説明します。

「不思議なものなのですが、大規模な会場でライブをやると少なからず苦情が来るんです。それがポール・マッカートニーみたいな知名度があると住民の方も『なんだ。ポールか』と意外と我慢してくれる(笑)。しかし、若いバンドだとこうはいかない。要は知名度と信頼なんですね。ポール・マッカートニーだからではなくその会場だから何か新しく良質なエンタテインメントをやってるんだと理解をしてくれるような信頼関係を近隣の方々と結ぶ必要がありますね」

流行・カルチャーの発信源としての渋谷と3万人規模のスタジアムパーク構想。日進月歩で進化をし、無限の可能性を秘めているエンタテインメントだけに次々と出てくるアイデアにワクワクが止まりませんでした。

一過性や話題性に頼るのではなく、渋谷にふらっと行けば非日常を感じることができる。特別だけど身近にある。今回のクロストークでは、そんな青写真がおぼろげながらも見えてきました。

※出典
東京クラブマップ(https://www.tokyo-club.net/)、スペースマーケット(https://www.spacemarket.com/)、
『東京におけるナイトライフ観光の特性:夜間音楽観光資源としてのクラブ・ライブハウスに着目して』著・池田 真利子, 卯田 卓矢, 磯野 巧, 杉本 興運, 太田 慧, 小池 拓矢, 飯塚 遼(2018) 149〜164頁


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