2018.11.1

REPORT

SCRAMBLE STADIUM SHIBUYA
第 2 回 イベント(後半)クロストーク
~利用者にとってスタジアムパークが“自分達の場所”になるには?~

利用者にとってスタジアムパークが“自分達の場所”になるには?

SCRAMBLE STADIUM SHIBUYA 第2回クロストーク 〜都市とスポーツの未来〜
2018/11/1 (木) 19:00 – 21:00 @渋谷ヒカリエ 8階 COURT

渋谷の真ん中、代々木公園B地区に、3万人収容規模のスタジアムパークをつくる、とする構想「SCRAMBLE STADIUM SHIBUYA」。今回は《スポーツ》をテーマに、第一部ではJリーグサポーターの皆さんを、第二部では代々木公園をスポーツに利用している皆さんをパネリストとして招き、公開討論が展開されました。
【第一部】Jリーグサポーター ディスカッションのレポートはこちら

【第二部】代々木公園スポーツ施設利用者 ディスカッション

パネリスト(50音順)

  • 池田二郎(JIRO)さん(株式会社クロッシング東京 代表取締役、ALLDAY コミッショナー)
  • 海老原奨(AB)さん(ストリートボーラー、元 3人制バスケ日本代表)
  • 大角重人さん(株式会社イチキロ代表取締役、プロランニングコーチ)
  • 田原104洋さん(MOBSTYLES.&MOSHプロデューサー)

ファシリテーター

  • 小泉秀樹(東京大学 先端科学技術研究センター 共創まちづくり分野 教授、渋谷未来デザイン 代表理事)
  • 金山淳吾(渋谷区観光協会 代表理事、渋谷未来デザイン プロジェクトデザイナー)

代々木公園のスポーツ利用、と聞いて、屋外のバスケットボールコートを思い浮かべる人は多いかもしれません。第二部では冒頭から、“代々木公園のバスケコート”について池田さんが熱く語ります。「このコートの素晴らしい点は、管理人もいないのに自治が出来ている、ということ。ゴミのポイ捨ても利用者同士で注意し合い、いつしか自然に浸透したルールに則り公平に利用されている」

また、そうした運営が成り立っているのは、利用者のコートに対する「帰属意識」によるもの、つまり、利用者ひとりひとりが「自分たちのコート」という意識を持っていることが、このコートが特別な存在になっている要因だと話します。

ではどのようにしたら、「帰属意識」は生まれるのでしょうか。
地域に根ざし、人々に愛される場になるには? より良いスタジアムパーク作りのための大きなヒントがありそうです。

同じくバスケットコートを利用する海老原さんは、「いつでも誰でも使える。年齢も国籍も関係ない、もちろん差別もない、また入場料もとらない」ということが重要なのでは、と語ります。

その結果として、現在の代々木公園のコートのように「試合が勝手に自発的に起こり、知らない人同士でも自然にプレイ出来る」環境が整い、ひいてはそれは“カルチャー”と呼べるものにまで昇華しているのではないか、と。

代々木公園陸上競技場、通称「織田フィールド」を利用するランナーの大角さんも、誰にでも無償で開かれた場づくりの大切さを指摘してこう語ります。

「予約なしでお金も払わずに使えるのは全国でも珍しい。またランニングは《観る》から《やる》へ移行しやすいスポーツなので、気軽にフラッと走れるのは初心者にとっても嬉しく、ランナーの裾野を広げる役割も担っている」

代々木公園を走るランナーをサポートしコミュニケーションの場としても機能する『ランニングステーション』を運営する田原さんは、「地域に根ざした“ホーム感”も大事だが、遠方から代々木公園を走りにやって来る訪問者の視点も大事にしてほしい」と、新しい論点を提起します。

それに呼応してファシリテーターの小泉は、「プレイスメイキングの考え方に立って、その《場》が単なる《スペース》ではなく、意義ある《プレイス》になるためには、人を惹きつけるものがあることが大切」と語りました。

「ストリートバスケで面白いのはプレイだけじゃない。代々木のコートでは、実際にはプレイをしないおじさんおばさんやおじいちゃんおばあちゃん、また若いカップルなど、いろんな人が観て楽しみにやって来る。そうした人達とプレイヤーが雑談をし交流している様子は、他の場所ではなかなか見られない」と海老原さん。これもまた、“人を惹きつけるもの”のひとつでしょう。

今回登壇した皆さんや、来場者の方々のなかには、スタジアム構想によって、こうした大切な場が無くなってしまうのでは、と気がかりのある方も多かったのではないかと思われます。

小泉はこう語り、今回の貴重なトークセッションをまとめました。

「スタジアムを作るにあたって、代々木公園が今持っている多様な、場所としての意味をどう継承、発展していくことが出来るのか、が重要なポイント。スタジアムが利用者にとって“自分たちの場所”になるには、特定の事業者等が案を練りすぎるのではなく、“使う人が自分たちで作り上げられる余地“を残すことが大事だと感じました」

イベント終了後も、パネリストとファシリテーターがステージ脇に残り、目を輝かせて意見交換を続けていた姿が印象的でした。


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