2019.10.24

REPORT

SCRAMBLE STADIUM SHIBUYA
第9回 イベントアーセン・ヴェンゲル氏 基調講演
[第一部]

「SCRAMBLE STADIUM SHIBUYA」構想についてより幅広い視点での見識を募り、今回は、かつてJリーグ・名古屋グランパスエイトやプレミアリーグの名門・アーセナルで監督を務めたアーセン・ヴェンゲルさんを招いての基調講演会が催されました。

同講演は二部構成で行われ、第一部では「街とサッカースタジアムの幸せな関係」をテーマに進行します。

SCRAMBLE STADIUM SHIBUYA|アーセン・ヴェンゲル氏 基調講演
日時:2019年10月24日(火)
会場:ヨシモト∞ホール

【第一部】登壇者

  • アーセン・ヴェンゲル
  • 大金直樹(FC東京 代表取締役社長)
  • 羽生英之(東京ヴェルディ 代表取締役社長)

ヴェンゲルさんは、「サッカースタジアムは都心部にあるべき」とさっそく持論を展開します。

「サッカーは生活の一部であるべき。日本では郊外にスタジアムがあるが移動時間が1時間ほどかかるのはもったいない。ヨーロッパでは基本的には街なかにあり、仕事が18時に終わり、友人と食事をした後でも歩いてすぐにスタジアムにいける。理想的な環境だ」

また長きに渡り監督を務めたアーセナルが拠点とするロンドンを例に、
「日本から見ると街なかにあるように見えるが、ヨーロッパの市民にとってはまだ郊外のように思える。
それは最近の街なかの地価の高騰にも原因がある。世界的に見ても都市は人を惹きつける一方で、どんどん膨らんでいく。そのせいで地価が高騰し、スタジアムが都心から追い出されるような状況がある。そんななか、スタジアムに人が集まるから商店ができるように、スタジアムを中心に街全体に活気が生まれることが重要だ」と、社会問題を背景にしたスタジアム論を展開しました。

さらにFC東京 代表取締役社長の大金直樹さん、東京ヴェルディ 代表取締役社長の羽生英之を招いてのトークセッションでは、「都心部にスタジアムがあることで社会的な連帯は生まれるか?」をテーマに意見交換。
羽生さんが「スポーツの持つ力を最近のラグビーW杯の盛り上がりで感じている。東京も地方から様々な人が集まる。日本の文化そのものが変わっていくという期待がある」と語る一方で、大金さんは「スタジアムは、サッカー、スポーツ以外のカルチャーの発信拠点にもなり得る」と続けました。

イングランドで80年代に社会問題となったフーリガンについて「スポーツ、とりわけサッカーは社会的な責任を負っている。サッカーファンがスタジアムで取る行動はサッカーの責任であり、教育していくこともまたサッカーの責任だ」とヴェンゲルさん。

大金さんは「最近では暴力や差別をしないということが、Jリーグでも取り組まれている。大事なのはクラブがサポーターとどうコミュニケーションするか。それが正しい行動をとってもらう要因になる」と東京のクラブの取り組みを例に問題について語りました。

また今後、高齢化社会を迎えるという大きな課題を持つ日本において「スタジアムが社会をどう元気にするか?」という問いに対し、
「応援するチームがあるのも大事だが、これからは収益性が高いスタジアムを作っていく必要がある。渋谷に新しく作られるスタジアムは老若男女が楽しめる、今後のスタジアムのベンチマークなればいいと思う」と語ったのは大金さん。
それに対しヴェンゲルさんは、「自分がもしサポーターだったら“スタジアム”とは我が家の一部。アーセナルを例にすれば“コミュニティにとってのスタジアム”というのが我々にとってはあたりまえ」と続け、アーセナルのコーチが指導する、サポーター及び地域住民のためのスポーツジムを作ったことなどを例に挙げながら語ります。

一方、スタジアムの機能を地域住民に貸し出すことは可能か?という問いかけに対し、「東日本大震災時、飲料水や食堂設備のインフラが整っていた味の素スタジアムを避難所として開放した。東京都心には素晴らしい公園がたくさんあるが、建物がないため避難場所にならない。スタジアムが都心にあれば、災害時の避難所としても機能するから今後はそういうことも大切になってくる」と、羽生さんは地域住民にとって、スポーツやエンタメ以外の面でのメリットを示しました。

トークセッションの最後では、スタジアム環境の持続性について言及。アーセナルの旧本拠地ハイバリーについて「ハイバリーはただのスタジアムではなく独自のカラーがあって、暖かみがあり、これまでのひとつひとつの歴史を吸収しているかのようなものだった」と熱く語ったヴェンゲルさん。

そういった持続性のあるスタジアムを作る秘訣について、羽生さんは「日本でもサスティナビリティのような価値観が広がって来た。渋谷にできるスタジアムは長年に渡り、人々の想いに根ざして持続させていくことが大事」、大金さんは「スタジアムとは歴史をつないでいくようなものであることが大切だ」とそれぞれ意見を述べ、ヴェンゲルさんは最後に「スタジアムはサッカーファンにとって人生の一部。誰と行ったか、どんな試合を見たかも記憶に残る。人々にとって戻れる場所= “ホーム”であることが大切だ」と語りました。

今後も多くの意見を取り入れながら、構想をアップデートをしていくため、イベントを定期的に行っていきます。

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