2019.09.7

REPORT

SCRAMBLE STADIUM SHIBUYA
第7回 イベントワークショップ『みんなでつくる、理想の公園』

みんなでつくる、理想の公園-SCRAMBLE STADIUM SHIBUYA-

2019/09/07(土)14:00〜16:00 @Laugh Out

進行

  • 金山淳吾(渋谷区観光協会 代表理事、渋谷未来デザイン 理事)

「家の近所にこんな公園があったら……」と子どもの頃に考えたことはありませんか?

もしくは大人になり、「子どものためにこういう公園があればうれしいのに」と、子どもの頃とは異なる目線で“理想の公園”について思いを巡らせることもあるのではないでしょうか。

「SCRAMBLE STADIUM SHIBUYA PROJECT」では、これまでエンターテインメント、スポーツなど多角的な視点で代々木公園の在り方を問うてきましたが、同時に未来の担う子どもたちの意見を大事にしたいと強く思い、二度目となる子どもたちと“理想の公園”について話し合うワークショップを開催しました。

会場は、渋谷の公園通りに2019年7月に完成したばかりのコワーキングスペース「Laugh Out」。天候にも恵まれ、陽光がたっぷりと差す中、3〜10歳までの渋谷区在住の子どもたちが8人集まってくれました。

司会進行を務めた渋谷未来デザインの金山は、子どもたちに「代々木公園にもっと遊びに行きたい、と思えるようなアイデアを出してほしい。絵でも文章でも自由な形で、紙にアイデアを描いて」とメッセージ。そして、“理想の公園”のアイデアを描く前に準備運動がてら自由に空を描いてみようと呼びかけます。

「空の色」を聞いて思い浮かべるのは青、水色などですが、子どもたちは赤、オレンジ、真っ黒や何色もあるカラフルな空など、既成概念にとらわれずに自分たちが思う空の色を描いており、発想の豊かさに驚かされます。

金山「空と一口に言っても、天候、時間帯によって空の色は変わるよね。晴れているのか、曇っているのか? 朝焼けや夕焼け、夜になると星が出てくるね。じゃあ、星の色は? 本当にいろんな色がある」

金山は子どもたちの絵を眺めながら、空=青にこだわらない子どもたちの多様性が正しいことだと感心し、答えは1つではないことを強調します。

その後、世界中の特色のある公園をスライドで紹介。空の色がさまざまであるように、公園にも定まった型がないことを示唆し、子どもたちの自由な発想を促します。

自分が考える“理想の公園”を描く時間は30分。「あったらいいな」をみんなが一生懸命考えてくれました。どのような公園を創造してくれたのでしょうか?

では、みんなが考えてくれた“理想の公園”を5つ紹介します。

Aくん(7歳)
「エンジンやロケットが付いたスケボーがあって、グラグラと揺れる道と迷路もある。秘密基地やVRも楽しめる公園だと楽しい。遊具やアトラクションは、一番楽しかったものを遊んでくれた人からアンケートを取ったら良いと思う」

男の子らしくアクティブなアイデアが多かったSくんの理想の公園。エンジンやロケット付きのスケボーとなると親御世代だと『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を思い出した人も多いのでは?

Bさん(9歳)
「再生可能エネルギーで動くローラーコースターやじゃぶじゃぶ池、ツリーハウスがほしい」

再生可能エネルギーは学校で習ったわけではなく、日常生活で身についた知識とのこと。大人でも思いつかないアイデアに、ツリーハウスもありそうでない発想。エコかつ男女問わずに遊べる楽しい公園になりそう!

Cさん(9歳)
「まずはトイレがキレイなことで、遊具がたくさんあって遊園地と合体したような公園だといいな、と思いました。夏は水遊びができて、冬には温泉になるとか、1年中楽しめるとうれしいです。あと、小動物と触れ合えるような動物園もほしい。あと、カラスもいない方がいい」

温泉があると親子でもっと楽しめるようになりそうですね。トイレが清潔で使いやすいのも大事なポイント。多くの人が自由に使えるトイレだからこそ、利用者のマナーの向上などが考えられます。カラスが苦手なようですが、次の発表者のDくんからは反対意見が出ます。

Dくん(10歳)
「僕は遊具より自然を大切にした公園がほしいです。僕は昆虫採集や生き物が大好きなので、生き物がたくさんいる公園だとうれしいです。あと、さっきカラスがいない方がいいという意見がありましたが、カラスも生きているので駆除するのではなく、人間に迷惑をかけないように生きていける仕組みが必要だと思います。あとは昆虫や生き物を調べられる図書館やスポーツができるスペースがあったらいいな、と思いました」

カラスをどうするか? という論点で建設的な議論が生まれたのには驚きました。Dくんは、生き物が大好きで自然がいっぱいの公園があるとうれしい。一方でCさんはちょっとカラスが苦手。公園の在り方について、考えさせられる一コマでした。

Eさん(9歳)
「大人と一緒ではなくても、常に管理人さんがいて見てくれている公園。あとは動物のふれあいコーナーや足湯があるとうれしいです。ボールやバドミントンの道具も持っていくんじゃなくて貸し出し式になっていたり、ゴミも気になるのでみんながゴミを捨てるのが楽しくなるような“わくわくゴミ箱”があると、公園もキレイになると思います。」

Eさんが提案した“わくわくゴミ箱”は、2010年のカンヌ広告賞で話題になったフォルクスワーゲンのアイデア!(もちろんEさんはそのことは知りません)。 フォルクスワーゲンのゴミ箱は、ゴミを捨てるとセンサーが反応して音が鳴る仕掛け。「ひゅーーーーーーーーーーーーーーー……ボトッ」と地下何百メートルにゴミ箱が掘られているような音が鳴るため、みんなが楽しんでゴミを捨てることになりました。たった30分間でこのような秀逸なアイデアを出てくるなんて、すごい!

Fさん(9歳)
「噴水に入ってよくて、お菓子があって、水鉄砲も貸してくれる。木登りもできて、動物園もあって、キャンプもできるような公園がほしいです。あとはバーチャルススタジアムで花火とかを楽しみたい」

EさんとFさんのアイデアにあった道具の貸し出しについて金山は、

「現在の市場で活況を呈しているシェアリングエコノミーとフィットする発想で素晴らしい。ボールやバドミントン、テニスラケットを借りることができれば、手ぶらでいって楽しむことができて、公園のポテンシャルも広がっていくね」

と発言。つづいてキャンプに関して、代々木公園でも年に1度だけキャンプができる「Outdoor Day」があることを紹介。都内では花火ができる場所がほとんどない現在、その楽しみ方としてバーチャルスタジアムと融合させるのは、まさに現代の発想ですね。

さまざまな「あったら、いいな」のアイデアが生まれた今回のワークショップですが、子どもの意見や理想を聞く大切さを金山はこう語ります。

「いま渋谷の都市開発は、商店街のトップ層の方々が企業と話をしているんですね。もちろんしっかりと未来を考えてお話していますが、商店街の方々も高齢化が進んでいる現状があります。また数年に1度、多くの人の声を反映できるチャンスとして選挙があります。しかし、選挙権がない人の意見は届きにくい。都市開発は5年、10年、15年と長い年月がかかるものです。都市開発の区切りがついたときに実際に街で暮らす、遊ぶ主役となる世代は、今回参加してくれた子どもたちなんですね。だから、子どもたちの意見を僕は今後も大切にしていきたいと思っています」

過去、現在、未来……今を語ることが未来につながる。今回参加してくれた子どもたちの“理想の公園”が実現したときに実際に遊ぶのは、さらにその子ども世代かもしれません。

多くの世代からの意見を取り入れて、創造する“理想の公園”。オフィシャルサイトではみなさんの意見やコメントを募集しています。ぜひお声を届けてください!


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